相続税の期限内申告

相続税法の理論暗記

相続税の期限内申告について今回はまとめていきたいと思います。

そもそも相続税って何だったか覚えていますか?

相続税は、ある人が亡くなった場合に、財産の承継が行われます。その財産の承継に伴い発生する税金が相続税です。

亡くなった人を被相続人、財産を承継する人を相続人と言いましたね。

では、誰が相続税を納めるのでしょうか?

これは相続税の納税義務者のところで4つの区分をまとめましたね。

居住無制限納税義務者、非居住無制限納税義務者、制限納税義務者及び特定納税義務者です。

相続税を納める際は、申告書というものを申告期限までに税務署に提出しますが、今回は誰がこの申告書をどういった場合にいつまでに誰に提出するかについてまとめています。

相続税の期限内申告の本来の提出義務者

一般的に

相続税の期限内申告書とは、申告期限までに税務署に提出する相続税の申告書です。

誰が申告書を提出するか

誰が提出しなければいけないかというと、相続又は遺贈により財産を取得した人と相続時精算課税適用者です。

どういった場合に申告書を提出するか

どういった場合に提出しなければいけないかというと、被相続人から財産を取得したすべての人に関わる相続税の課税価格の合計金額が遺産に係る基礎控除額を超える場合です。

逆を言うと、遺産に係る基礎控除額を超えない場合は提出不要ということです。

ただし、後日説明する「小規模宅地の特例」や「相続税の配偶者控除」の適用を受けて課税価格の合計額がゼロになる場合には、これらの特例の適用要件は申告書の提出となっていますので、ゼロになったとしても提出が必要なので注意が必要です。

いつまでに申告書を提出するか

いつまでに相続税の申告書を提出するかというと、相続開始を知った日の翌日から10月以内です。

相続開始の翌日とは、亡くなったことを知った日の翌日のことです。

その人がその期間内に日本国内から住所及び居所を持たなくなるときは、その日までです。納税管理人という代わりに納税関係を引き受けてくれる人を選任し、納税管理人の届出をすれば、通常通り、10月となります。

誰に申告書を提出しなければならないのか

誰に相続税の申告書を提出しなければならないかというと、納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

法律用語に慣れている人からするとバカにされるかもしれませんが、はじめて「納税地の所轄税務署長」と聞くと、直接その税務署の署長個人宛に提出しなければならないというイメージを抱いてしまいますが、実際は、所轄の税務署に提出すれば問題ありません。

税務署の署長個人宛に申告書を提出することとなると、申告書は相続税だけではないので、膨大な申告書のチェックを署長一人で行うこととなりますね。

それは不可能ですね(;・∀・)

法律では、納税地の所轄税務署長となっていますが、実際は納税地の所轄税務署に提出すれば問題ありません。

法律的に表すと

いつ誰が誰にどういった場合に相続税の申告書を提出するかは理解できたかと思います。

これを法律的には以下のような言い回しになります。

・相続又は遺贈(被相続人からの相続時精算課税に係る贈与を含む。以下同じ。)により財産を取得した者及び相続時精算課税適用者は、その被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(生前贈与加算及び相続時精算課税適用財産の価額を加算した後の相続税の課税価格とみなされた金額)の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者に係る相続税額(配偶者の税額軽減の規定の適用を受けないものとして計算した金額)があるときは、その相続開始を知った日の翌日から10月以内(その者がその期間内に納税管理人の届出をしないで法施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、その住所及び居所を有しないこととなる日まで。以下同じ。)に期限内申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

法律用語だと難しく感じるかもしれませんが、内容は理解できたかと思います。

これが一般的な相続税の申告書についての規定です。

続いて、レアパターンについてまとめていきます。

相続税の期限内申告書の提出義務の承継者

相続税の期限内申告の基本パターンは上記の通りですが、今度はレアパターンについてみていきましょう。

本来、相続税の期限内申告書を提出すべき人が、その申告書の提出期限前にその申告をしないで亡くなった場合はどのようになるでしょうか。

提出しなくて済んでしまうと思いますか?

結論を言うと、提出しなくてはなりません。

亡くなっているのに、亡くなった人が提出することはできませんね。

では、一体誰が、本来亡くなった人が提出しなくてはならない相続税の申告書を提出するのか、またその場合の提出期限はどうなるかについて見ていきましょう。

亡くなった人が本来提出すべき申告書を誰が提出するか

亡くなった人が本来提出すべき申告書を誰が提出するかということについては、その本来申告書を提出すべき人の相続人又は包括受遺者が本来提出すべき申告書を提出しなければなりません。

話がややこしくなってきたので、具体例を出して説明いきたいと思います。

たとえば、

Aが亡くなったことにより、Bは被相続人Aから財産を承継することになります。

財産を承継する際、相続税の申告書(本来の申告書とする。)の提出が必要ですが、Bもその申告書の提出期限1週間前に亡くなってしまいます。

Bが亡くなったことにより、Bが本来の申告書を提出できなくなりました。

その場合、Bの相続人又は包括受遺者が本来の申告書を提出しなければなりません。

いつまでに本来の申告書を提出しなければならないのか

いつまでに本来の申告書を相続人又は包括受遺者が提出しなければいけないのかというと、その本来の提出者が亡くなった日の翌日から10か月以内です。

先程の例では、本来の提出期限の1週間前にBが亡くなったので、そのBが亡くなったことを知った日の翌日から10月後が提出期限となります。

本来の提出期限のままだと1週間で提出しなければなりませんので、理不尽ですね。

提出義務の承継者(法律での表現)

法律的には次のように表現されています。

  • 期限内申告書を提出すべき者がその申告書の提出期限前にその申告書を提出しないで死亡した場合には、その者の相続人又は包括受遺者は、その相続開始を知った日の翌日から10月以内に、その死亡した者の期限内申告書をその死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

提出期限の特例

提出期限が定められていたとしても、災害などやむを得ない理由により期限内に申告書を提出できない場合もありますね。

そういった場合には、その理由のやんだ日から2月以内に限り、その起源を延長することができます。

提出する必要がない場合

期限内申告書の提出期限前に相続税について決定があった場合には、提出を要しません。

この「決定」というものは、税法独特の用語で、税務署側が税額を計算し、税額を決定することです。

その場合は、相続税の申告書を提出する必要がありません。

納付

期限内申告書を提出するだけでは終わりません。

期限内申告書に記載されている相続税を納付しなければなりません。

納付も期限内申告書の納付期限までに国に納付をしなければなりません。

相続税の期限内申告書(その他)

相続税の期限内申告書を提出する場合には、一定の事項を記載した明細書等を添付しなければなりません。

この明細書等とは、戸籍謄本のことです。

また、同一の被相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した人又はその者の相続人又は包括受遺者は、申告書の提出先の税務署長が同一である場合にはその申告書を共同で提出することができます。

相続税の期限内申告書~まとめ~

相続税の期限内申告書については、まずは、一般的な提出者について、理解を深めましょう。

誰が誰に、いつまでに、どういった場合に提出をしなければならないのか知る必要がありますね。

もちろん、一般の方が相続税の申告書を作成するのは酷なことなので、普通は税理士に委託するものですが、最低限の知識は持っておいた方が損はしません。

申告期限を過ぎてから、依頼をしても余分に税金を払わなくてはいけないことになります。

ですから、最低限、申告期限については覚えておいた方が良いでしょう。

それでは、今回はここまで。

次回は、相続税法の納税地についてまとめていきます。

ではでは~(^^)/

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