【相続税法】相続税の納税義務者について

相続税法の理論暗記

相続税は、学校では教えてくれないけれど、払わなければいけないという義務を負います。義務を負うものであるから、義務教育に組み込むのが理にかなっているような気がします。相続税に限らず、税金全般について言えますが(;^ω^)

今回は、そんな相続税について、わかりやすく解説していこうと思っています。

相続税って、どんな税金?

nayamu

相続税ってどんな税金かというと、亡くなった人の財産を承継する時にかかる税金です。

このとき、亡くなった人のことを被相続人、亡くなった人の財産を承継する人を相続人と言います。

被相続人の財産を相続人が承継することを相続と言い、財産の額に応じて税金が発生します。

この税金を相続税といいます。

人はいつか必ず死にます(科学の進歩により死ななくなることもありうるかもしれませんが・・・)。

相続税法はすべての人に関わってくると思ってよいでしょう。

また、亡くなる前に財産を渡すことを贈与といいますが、相続税は亡くなった時に発生するので、亡くなる前に財産を承継すれば相続税はかからないと考えて相続税を回避しようとする人がいます。

そうなると、みんな相続税を回避することができてしまいますね。

ですから、そういった回避をさせないために、相続税よりも税率が重い贈与税が課されます。

贈与税については、後日説明するとして、今回は「どういった人が相続税を納めなければならないのか?」についてまとめていきます。

相続税の納税義務者

benkyo1

納税義務者は、その名の通り、税金を納める義務がある人、言い換えると税金を納めなければいけない人のことです。

相続税の納税義務者は4つの区分に分類されます。

次に掲げる人は相続税を納める義務があります。

居住無制限納税義務者

すごく難しそうな漢字が並んでいますが、ざっくり言うと相続人(財産を取得した人)の住所が国内にある人です。無制限納税義務者というくらいですから、財産の全部に対して相続税が課されます。取得した財産の合計額が相続税の課税価格となります。課税価格は、税率をかける前の財産の価額の合計額を言います。

無制限納税義務者なので、国内国外の全ての財産に相続税が課されます

  • 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

非居住無制限納税義務者

非居住無制限納税義務者は、財産を取得した人の住所が国内にない人のことです。国内に住所が無くても、承継される財産は課税されます。つまり、住所が外国にあっても課税されます。ただし、条件があります。その条件とは国籍の有無によって異なってきます

日本国籍を持っている人は、その人又は被相続人が相続開始前5年以内に国内に住所があった場合のみ、納税義務者となります。

日本国籍を持っていない人は、被相続人が相続開始時に国内に住所があった場合のみ、納税義務者となります。

無制限納税義務者なので、国内国外の全ての財産に相続税が課されます

・相続又は遺贈により財産を取得した次に掲げる者であって、その財産を取得した時において、法施行地に住所を有しないもの

(イ)日本国籍を有する個人(その個人又は被相続人がその相続開始前5年以内のいずれかの時において法施行地に住所を有していた場合に限る。)

(ロ)日本国籍を有しない個人(被相続人がその相続開始時において法施行地に住所を有していた場合に限る。)

 

では、上記の場合にあてはまらない場合はどうなるでしょうか?

その場合、次の区分の制限納税義務者となります。

制限納税義務者

制限納税義務者は国内に住所がなく、かつ、上記の非居住納税義務者に該当しない場合です。

制限納税義務者は、国内の財産のみ課税されます。

もし、国内の財産を持っていなかった場合、相続税の納税義務者となりませんので注意が必要です。

特定納税義務者

cafe8

今度は以上の3つの区分とは少し異なります。

特定納税義務者は贈与により相続時精算課税の規定の適用を受ける財産を取得した個人を言います。上記の納税義務者の区分を除きます。

相続時精算課税の規定について詳しくは後日説明しますが、ここでは簡単に説明します。

相続時精算課税制度は贈与を促す制度です。

先程、贈与税率の方が相続税率よりも高くなっていると説明しました。

なのに贈与を促す制度とは一体どういうことなのでしょうか?

この制度の目的は、高齢者の保有する資産を次世代に移転しやすくすることで、経済の活性化を図るということです。

相続時精算課税の規定の適用を受ける人は、一定の金額までは、その贈与された財産には贈与税率はかかってきません。ですが、相続の発生時(贈与者が亡くなった時)にその財産を相続税率で計算しなおします。

そうすることで、実質的には、贈与をしても本来適用される贈与税率ではなく、将来の相続時に相続税率で計算することとなります。

つまり、相続時精算課税制度は、贈与をしてきた財産を相続時に相続税率で計算し、精算する制度です。

この相続時精算課税制度を受けるためには、相続時精算課税選択届出書というものを提出しなければなりません。

さて、相続時精算課税制度については後日説明するとして、特定納税義務者の話に戻ります。

特定納税義務者は、他の3区分と違って、「相続又は遺贈により財産を取得」していない点で異なります。

特定納税義務者だけ、贈与により相続時精算課税制度の規定の適用を受ける財産を取得した個人となります。

贈与をする人のことを贈与者贈与を受ける人を受贈者といい、相続時精算課税制度の規定の適用を受ける財産を贈与する人を特定贈与者、相続時精算課税制度の規定の適用を受ける財産を取得した人は特定納税義務者と言います。

相続時精算課税制度の規定の適用を受ける財産のやりとりをすると「特定」という言葉が付くということです。

最後に

4つの相続税の納税義務者の区分について、理解できましたでしょうか?

次回は相続税の納税義務者の区分によって取り扱いが異なる「債務控除」について説明していきます。

タイトルとURLをコピーしました