【相続税法】相続税の総額について

相続税法の理論暗記

相続税の総額はいくらになるの?

今回まとめる内容理解するとその疑問がなくなります。

今回は相続税の総額についてまとめていきます。

相続税の総額

相続税の総額の計算方法です。

  1. 相続税の総額は、まず、課税価格の合計額を算出します。・・・①
  2. 次に、遺産に係る基礎控除額を計算します。      ・・・②
  3. ①から②を控除して、残額を求めます。        ・・・③
  4. ③の残額を法定相続人の数に応じた法定相続人が法定相続分、代襲相続分に応じて取得したものとした場合における各取得金額を求める。
  5. 法定相続人の各取得金額につきそれぞれ超過累進税率を乗じて計算した金額を合計した金額が相続税の総額です。

少し難しそうですね。

まずは、法定相続人についてから解説します。

法定相続人とは

法定相続人については、以前、「相続税の非課税財産」の記事で説明していますが、再度、軽く説明します。

法定相続人とは、民法で定められた相続人のことです。

民法で定められているので、恣意性が介入する余地がありません。

相続税法上の相続人とは意味が違います。

相続税法上の相続人は、相続権を放棄すると相続人となりません。

一方、民法で定められた相続人、つまり、法定相続人は、相続権を放棄しても法定相続人から除外されることはありません。

意図的に、その親族の意思により不当に相続税額を小さくすることができないような仕組みになっています。

この法定相続人が、相続税の総額の計算にどのように当てはまってくるのでしょうか?

遺産に係る基礎控除額

法定相続人の数が遺産に係る基礎控除額の計算に関わってきます。

遺産に係る基礎控除額は次のようになります。

  • 3,000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人が多ければ多いほど、遺産に係る基礎控除額が多くなります。

余談となりますが、平成26年までは遺産に係る基礎控除額の計算が「5,000万円×1,000万円×法定相続人の数」となっていました。

平成27年以降から遺産に係る基礎控除額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となっています。

ですから、遺産に係る基礎控除額が全体的に少なくなったことによって、相続税を納める人が増えることとなります。

法定相続分とは

法定相続分とは、民法で定められた取り分のことです。

まずは、被相続人の配偶者(夫、妻)、被相続人の子が第1順位、被相続人の父母が第2順位、被相続人の兄弟姉妹が第3順位とされています。

配偶者は必然的に法定相続人となります。

 

ケース1:被相続人の配偶者の妻とその息子1人娘1人と被相続人の父母と被相続人の兄が1人がいたとします。その場合の法定相続分は?

 

答え:被相続人の配偶者は必然的に配偶者となります。第一順位の子が2人いますから、配偶者の法定相続分は2分の1。息子と娘の取り分は、残りの2分の1を半分ずつ分けるので(2分の1)×(2分の1)で4分の1となります。

父母と兄は第1順位の子がいるので今回のケースでは法定相続人となりません。よって、法定相続分はありません。

 

ケース2:被相続人の配偶者の妻と被相続人の父母と被相続人の兄がいたとします。その場合の法定相続分は?

 

答え:被相続人の配偶者は必然的に法定相続人となります。第1順位の子が今回のケースはいませんから、第2順位の父母が法定相続人に該当します。よって、配偶者の法定相続分は3分の2となります。残りの3分の1を父母二人で分けるので(3分の1)×(2分の1)でそれぞれ6分の1ずつとなります。

 

ケース3:被相続人の妻と被相続人の兄がいたとします。その場合の法定相続分は?

 

答え:被相続人の配偶者は必然的に法定相続人です。第1順位の子と第2順位の父母が今回はいないので、第3順位の兄が法定相続人となります。よって、配偶者の法定相続分は4分の3となります。残りの4分の1が被相続人の兄の取り分となります。

 

法定相続分についてご理解いただけたでしょうか?配偶者の取り分を中心に考えて残りを分けるということです。配偶者の取り分を先に求めることが法定相続分の計算となります。

配偶者の法定相続分を表にしてまとめましたので参考にどうぞ。

第1順位:子第2順位:被相続人の父母第3順位:被相続人の兄弟姉妹
配偶者2分の13分の24分の3

 

代襲相続分とは

相続開始前に被相続人の子が既に死亡しているとき、孫が子の相続権を引き継いで相続人となります。この相続権を引き継ぐことを代襲と言います。

また、子が死亡しているケースの他に、子が死亡していなくても欠格・廃除に該当する場合も相続権を失い、孫が相続権を引き継ぐことも代襲となります。

代襲によって、相続権を引き継ぐことを代襲相続と言います。

代襲相続分は、本来、子が生きていたり、欠落・廃除に該当しない場合にもらうべき取り分をその孫で引き継ぐので、その子の取り分を孫たちで分けた額となります。

相続税の総額~法律では~

法律では次のように表現されています。

  • 相続税の総額は、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額から(注)遺産に係る基礎控除額を控除した残額をその被相続人の法定相続人の数に応じた法定相続人が法定相続分、代襲相続分に応じて取得したものとした場合における各取得金額につきそれぞれ超過累進税率を乗じて計算した金額を合計した金額とする。

(注)遺産に係る基礎控除額

3,000万円+600万円×法定相続人の数

 

各相続人等の算出相続税額

相続税の総額について、まとめてきましたが、算出した相続税の総額を各相続人で分けなければなりません。

その分け方は次の通りです。

  • 相続税の総額×その者の相続税の課税価格/相続税の課税価格の合計額

/は割り算。例:2分の1→1/2

各相続税の課税価格の割合で按分するということです。

相続税の総額~まとめ~

相続税の総額についてまとめてきましたが、法定相続分の解説が長くなってしまいました(;´・ω・)

相続税の総額を計算するうえで法定相続人の数や法定相続分は計算要素で必須になります。

法定相続人についてしっかり理解しましょう(^^)/

それではまた。

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