前回は相続税の債務控除について説明しました。
非課税財産に係る債務は、そもそも非課税財産は課税価格に算入されないので、控除できません。
今回はその非課税財産についてまとめていきたいと思います。
相続税の非課税財産とは?
非課税財産ってそもそも何でしょう?
非課税財産は、その名の通り相続税が課税されない財産を言います。
非課税財産は、課税価格の計算において課税価格に算入されません。
平たく言うと、税金がかからない財産ということです。
具体的にはどのようなものがあるか見ていきましょう。
次の6つの項目の価額については、相続税の課税価格に算入しません。
(1)皇室経済法の規定により皇位とともに皇嗣(こうし)が受けた物
皇嗣(こうし)とは「皇太子」を指します。皇位とともに皇嗣が受けた物がなぜ非課税なのかというと、憲法上の特殊な地位に随伴するもの、自由に処分することができないもの、国家的な見地によるものとされています。
一般的には、関わってこないものですね(;^ω^)
(2)墓所、霊廟(れいびょう)及び祭具並びにこれらに準ずるもの
日常礼拝に供されているものであるため非課税とされていますが、金の仏像であるとか投資の対象となっているものに関しては課税されます。当たり前ですね(;^ω^)
(3)公益目的とする事業の用に供することが確実なもの
公益増進のため公益目的とする事業の用に供することが確実なものは課税されません。具体的には以下の内容になります。
① 宗教、慈善、学術その他公益を目的として事業を行う者で一定のものが相続又は遺贈により取得した財産でその公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの。
② ①の財産を取得した者がその取得した日から2年を経過した日において、なおその財産をその公益を目的とする事業の用に供していない場合には、その財産の価額は、相続税の課税価格に算入する。
公益目的であったとしても2年後に実際に公益目的の事業の用に供されていなければ非課税財産とはなりません。
(4)心身障害者共済制度に基づき支給される給付金の受給権
条例の規定により地方公共団体が実施する心身障害者共済制度に基づき支給される給付金の受給権
これは心身障害者を扶養している世帯で、扶養している人が地方公共団体に支払っている保険金のようなものです。
心身障害者を扶養している人が亡くなると心身障害者にとってはそうでない人に比べ社会的に生活していくのが困難です。
ですから、条例の規定により地方公共団体が実施する心身障害者共済制度という保険のような制度があります。
そこから支給される給付金や給付金の受給権に関しては非課税となります。
(5)相続税が課税される保険金((4)を除く。)のうち次の金額に相当する部分
(A)すべての相続人が取得した保険金の合計額
(B)500万円×法定相続人の数=非課税限度額
(C)その相続人の取得した保険金
①(A)≦(B)の場合
(C)
②(A)≻(B)の場合
(B)×(C)/ (A)
(6)相続税が課税される退職手当金等のうち次の金額に相当する部分
(A)すべての相続人が取得した退職手当金等の合計額
(B)500万円×法定相続人の数=非課税限度額
(C)その相続人の取得した退職手当金等
①(A)≦(B)の場合
(C)
②(A)≻(B)の場合
(B)×(C)/ (A)
(5)については、非課税限度額よりもすべての相続人の取得した保険金の合計額が低い場合は取得した保険金全額非課税となります。
非課税限度額よりもすべての相続人の取得した保険金の合計額が多い場合には、非課税限度額を取得した保険金の割合に応じて按分した金額が非課税となります。
(6)については、(5)と非常に似ていますが、保険金が退職手当金等になっています。
ここで、法定相続人というものが出てきましたね。法定相続人とはなんでしょう?
法定相続人とは?
法定相続人とは、民法で定められた相続人のことで、その親族の意思が介入する余地がありません。
相続税法の相続人は、相続を放棄することで相続人から外れることができますが、法定相続人は外れることができません。
これは、誰かの意思が介入することで、相続税を意図的に回避することを避けるために設けられています。
相続人の数を操作されると、先ほどの非課税限度額も増やすことができてしまいます。
そうなると本来納めるべき税金を回避することができてしまいます。
そこで、人の意思が介入できない法定相続人という概念が重要となってきます。
今回は相続税の非課税財産について説明しました。
次回は生命保険金等、退職手当金等に関わってくるみなし取得財産についてまとめていこうと思います。
それではまた(^-^)