相続税法の理論暗記

相続税の期限後申告について

2017/03/23

相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10月以内となっていましたが、その申告期限以内に申告できなかった場合には、税務署の決定があるまでは、期限後申告書を提出することができます。

一般的な期限後申告のイメージは、申告期限以内に申告できなかった場合ですが、今回はもう少し深く突っ込んだ内容を解説していきます。

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提出期限後に提出する申告書は期限後申告書

今回は、期限内申告書の提出期限後において、次の事由によって、新たに期限内申告書を提出しなければならなくなった人についてです。

提出期限後に期限内申告書を提出するとなると、矛盾しますね!?

そのような場合は期限内申告書の代わりに期限後申告書を提出することができます。

内容は期限内申告書と同じです。

では、どのような理由によって、新たに期限内申告書を提出しなければならなくなった場合に、期限後申告書を提出することができるのでしょうか?

事由1:遺産分割が行われ、再計算された課税価格が異なること

相続で親族間で問題となってくるのは遺産分割です。

遺産分割の際は、親族間で分割協議という話し合いを行います。

本当は仲が良いのに、より多くの遺産を手に入れようとし、仲が悪くなってしまったり、場合によっては親族間で裁判で争うケースも多くあります。

それほど、分割協議は大変なことですから、申告期限までに親族間で話し合いがまとまらない場合もあります。

そのような場合でも期限内申告書を期限までに提出しなければなりません。

ですから、相続税法は分割協議がまとまっていなくても課税価格を計算できる法律体系になっています。

申告期限後に分割協議がまとまった場合、期限内申告書に記載されていた課税価格と異なることとなったときは期限後申告書を提出することができます。

法律では

法律では次のように表現されています。

  • 未分割財産に対する課税の規定により分割されていない財産について民法の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従って課税価格が計算されていた場合において、その後その財産が分割が行われ、共同相続人又は包括受遺者がその分割により取得した財産に係る課税価格がその相続分又は包括遺贈の割合に従って計算された課税価格と異なることとなったこと。

事由2:相続人に異動を生じたこと

民法で規定されている認知、相続人の廃除や相続人の廃除の取り消しに関する裁判の確定、相続の回復、相続の放棄の取り消し等により相続人に異動が生じたときに期限後申告書を提出することができます。

はじめての言葉がたくさん出てきたかと思いますので、一つずつ見ていきましょう。

まずは、「民法で規定されている認知」とは、子の父親や母親が「血縁上の親子関係が存在する」という事実を認めることです。

次は、「相続人の廃除や相続人の廃除の取消し」です。相続人の廃除とは、財産を残す人(生きているので被相続人と言えない。)が推定相続人(相続人になるであろう人)に対し、相続権を与えないことです。

相続人の廃除をされると、その財産を残す人からその取り消しをされない限り、相続権は与えられません。

「相続の回復」については、真正の相続人でない人が、遺産を支配していて、真正の相続人の相続権を侵害している場合、その真正の相続人はその相続権の回復を請求することができます。このことを「相続の回復」と言います。

相続の放棄とは、相続権を自分から放棄をすることです。

以上の意味を理解したうえで、再度法律を見てみましょう!

法律では

法律では、次のように表現されています。

  • 民法の規定による認知、相続人の廃除又はその取消しに関する裁判の確定、相続の回復、相続の放棄の取り消し等により相続人に異動を生じたこと。

事由3:遺留分による減殺の請求が認められたこと

遺留分とは、被相続人が遺言により遺産の大部分を相続人以外の者に分配してしまった場合に備えて設けられた相続人に保証されている最低限の取り分のことです。

減殺の請求とは、相続人が遺留分を主張し、その受遺者から超過分を取り戻す行為です。

遺留分の減殺の請求が認められた場合にも、相続人又は包括受遺者の課税価格が異なってきますので、期限後申告書を提出することができます。

法律では

法律では次のように表現されています。

  • 遺留分による減殺の請求に基づき返還すべき、又は弁償すべき額が確定したこと。

事由4:遺贈に係る遺言書が発見され、又は遺贈の放棄があったこと

遺贈に関する遺言書が発見されたり、遺贈の放棄があった場合にも相続税の期限後申告書を提出することができます。

事由5:物納に充てた財産に関し一定の事由が生じたこと

物納とは、物によって相続税を納めることです。

物納に充てた財産に一定の事由が生じた場合にも期限後申告書を提出することができます。

物納に関しては後日詳しく見ていきます。

法律では

法律では次のように表現されています。

  • 物納手続(物納申請の却下に係る再申請をする場合を含む。)の規定により条件を付して物納の許可がされた場合(物納の許可の取消しの規定によりそのきゃかが取り消され、又は取り消されることとなる場合に限る。)において、その物納に充てた財産に関し一定の事由が生じたこと。

相続税の租税特別措置法の特則

国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税の規定の適用を受けた人は、その贈与又は受け入れの日から2年を経過した日までに公益を目的とする事業の用に供していないことに伴いその財産の価額を相続税の課税価格に算入することとなったことにより、相続税の期限内申告書を提出すべきこととなった場合には、その2年を経過した日の翌日から4か月以内に期限後申告書を提出しなければなりません。

法律では

法律では次のように表現されています。

  • 国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税の規定の適用を受けた者は、その財産の贈与又は支出を受けた特定の公益法人等、認定特定非営利活動法人又は特定公益信託が、その贈与又は受け入れの日から2年を経過した日までに特定の公益法人等、認定特定非営利活動法人若しくは特定公益信託に該当しないこととなったこと又はその贈与により取得した財産を同日においてなおその公益を目的とする事業の用に供していないことに伴いその財産の価額又は金銭の額を相続税の課税価格に算入すべきこととなったことにより、相続税の期限内申告書を提出すべきこととなった場合には、その2年を経過した日の翌日から4月以内に期限後申告書を提出しなければならない。

相続税の期限後申告に係る納付について

期限後申告書を提出した人は、その申告書を提出した日まで又はその申告書の提出期限内にその申告書に記載した税額を国に納付しなければなりません。

相続税法の期限後申告~まとめ~

期限内に期限内申告書を提出できなかった場合だけではなく、様々な事由により、期限後申告書を提出できる場合や、期限後申告書を提出しなければならない場合について述べてきました。

できれば期限内申告書のみで完結したいところですが、やむをえない場合もあるので、期限後申告書という法律が設けられているのです。

次回は、相続税の総額についてまとめていきます。

ではでは(^^)/

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